こんにちは、ゆうとです。本日もブログをご覧いただき、ありがとうございます。本日は、近年話題のZEH(ゼッチ)の内容(平成30年度時点)をまとめておきたいと思います。
注文住宅は、特定の条件を満たすように設計することで、ゼッチ認定を得ることができます。ゼッチに認定されると、国から補助金をもらうことができるので、実質的な自己負担を減らすことができるのです。では早速、ゼッチの仕組みを整理していきましょう。
Sponsered Link
〇ZEH(ゼッチ)とは
ZEH(ゼッチ)とは、『ネットゼロ・エネルギー・ハウスの略で、経済産業省資源エネルギー庁が定義している「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅』です。
ひとことで言えば、『家でつくりだすことができるエネルギーが、使う量と同等またはそれ以上となるような家』のことですね。国は、『省エネ性が高い、環境に配慮した住宅を建てましょう!』という目標をかかげ、2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文住宅の半数以上を目指して普及活動に取り組んでいます。このゼッチに認定された住宅は、国から補助金をもらうことができます。
また、ゼッチのメリットには、
- 我慢や努力を必要とせずに光熱費をおさえられる
- 一年中快適な室内環境で暮らすことができる
といった点があります。ゼッチに認定されているということは、快適に暮らせる家と認められていることにつながるわけですね。
〇ゼッチは5種類
補助金制度対象のゼッチには、5つの種類があります。家を建てる地域に合わせて、高スペックから低スペックまで5段階に分かれています。ゼッチプラスが最高スペック、ゼッチオリエンテッドが一番低スペックとなります。
- ZEH+(ゼッチプラス)
- Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)
- ZEH(ゼッチ)
- Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)
- ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)
※上位ほど高スペック
このゼッチのスペックの差は、再生可能エネルギーの1次エネルギー消費量の削減率の差によってうまれます。再生可能エネルギーを『除く』1次エネルギー消費量の削減率は次のとおりです。
- ZEH+(ゼッチプラス):25%以上
- Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス):25%以上
- ZEH(ゼッチ):20%以上
- Nearly ZEH(ニアリーゼッチ):20%以上
- ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド):20%以上
また、再生可能エネルギーを『加えた』1次エネルギー消費量の削減率は次のとおりです。
- ZEH+(ゼッチプラス):100%以上
- Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス):75%以上
- ZEH(ゼッチ):100%以上
- Nearly ZEH(ニアリーゼッチ):75%以上
- ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド):再生可能エネルギーの導入必要なし
これらの基準を満たすことで、国から補助金をもらうことができるようになります。平成30年度の補助金制度では、次の2つの種類があります。
- 補助額115万円/戸
高スペックの基準のゼッチプラスとニアリーゼッチプラスが該当します。再生可能エネルギーの自家消費率を高めるための措置として、①外皮性能のさらなる強化、②HEMSによる高度エネルギーマネジメント、③電気自動車等の充電設備のうち、2つ以上を導入する必要があります。蓄電システム(定置型)を設置する場合には、3万円/kWh加算となります。(上限:45万円または補助対象経費の1/3のいずれか低い額)
- 補助額70万円/戸
こちらは基準がすこし低めに設定されていて、ゼッチとニアリーゼッチ、ゼッチオリエンテッドが該当します。蓄電システム(定置型)を設置する場合には、3万円/kWh加算となります。(上限30万円または補助対象経費の1/3のいずれか低い額)
建てる家の性能の違いによって、補助金額がかわってきます。注文住宅を建てる際には、どのゼッチに該当するように設計するかを、営業の方と事前によく相談しておくことが大切になります。
〇ゼッチの注意点
メリットばかりあるように感じるゼッチですが、いくつか注意点もあります。事前に知っておくことで、後々後悔しない家づくりにつなげることができます。
- ゼッチ仕様にするための費用がかかる
ゼッチは省エネ性が高い住宅ということが分かりました。では、省エネ性を高めるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。そのためには、太陽光発電の搭載はもちろんのこと、エアコンの性能を高める必要や間取りの制限がでてきます。ゼッチの認定を得るためには、数十万円~の初期投資が必要になるのです。
家の設計を始める段階からゼッチに認定されるための戦略を練り、ハウスメーカーの営業の方と連携して段取りをすすめていく必要があります。また、のんびりと設計できず、短期間にテキパキとすすめていく必要もあります。
- 国の予算は年度ごと
ゼッチに認定されるためには、初期投資が必要となりますが、必ずしも補助金が得られるわけではないのです。国は年度ごとにゼッチの予算を確保しているために、ゼッチの申請数が想定以上に多くなった場合には、早い段階でその年の受付が終了する可能性があります。
せっかく初期投資で数十万円~をかけて準備したのに、補助金がもらえなかった。。という悲劇が起こる可能性があるのです。家を建てる(引渡し)時期など、年度ごとのタイミングがあるので、ハウスメーカーの営業の方に相談した方がよさそうです。
〇住宅性能を高めるポイント
省エネ性を高めてゼッチに認定されるほか、住宅性能を高めて快適な生活を過ごすためにはどのようなことが必要なのでしょうか。家の快適性能や資産価値を高めるために、次の4つのポイントをおさえておきましょう。
- 耐久性
家を建てるための柱などの部材、屋根や内外装の性能が大きく影響してきます。劣化しにくい素材を採用して、定期的にメンテナンスをおこなっていくことで、耐久性の高い家をつくることができます。
- 省エネ性
省エネ性を高めるためには、高気密高断熱である必要があります。高気密にするためには、家の中に外気が入ってくる『すき間』をできる限り少なくすることが大切です。また、断熱材もしっかりとした厚い部材を使う必要があります。そのほか、LED照明や高効率給湯器などの省エネ性に優れた製品を採用することも大切です。
- 耐震性
地震に強い家を目指しましょう。地震に対する強さは『耐震等級』で段階的に決められています。1~3級に指定され、数字が大きいほど性能が高くなります。
- バリアフリー性
バリアフリーは、家の中の手すりの有無、段差の有無、車いすが使えるかどうかなど、さまざまな条件が設定されています。特に、階段の勾配と形が大きな影響をおよぼします。
以上、4つのポイントを考慮しながら設計を考えることで、数十年経っても快適に暮らせることができるうえ、家の価値が落ちにくい家づくりにつなげることができます。
〇第三者による評価
ゼッチ認定を受けるほか、第三者による評価を受けておくことが家の資産価値につながります。第三者による家の評価を得ておくことによって、万が一、家を手放す必要があった場合に、次の買い手に性能の理解を促すことができます。
第三者による評価には、つぎのような制度があります。
- 安心R住宅(国土交通省)
- スムストック(優良ストック住宅推進協議会)
〇まとめ
ゼッチは、省エネ性の高い住宅が得られる国の評価の一つです。ゼッチに認定されることによって、補助金をもらうことができるので、新築の注文住宅をお考えの方は、ぜひ一考をおすすめします。ただ、その補助金をもらうためには、初期投資で自己負担がかかること、年度ごとに国の予算が限られていることなど、いくつか注意点があるので注意も必要です。
これからの日本の注文住宅には、ゼッチによる省エネ性のほか、耐久性や耐震性、バリアフリー性などの観点も重要な要素になってきそうです。家づくりの際には、そのような視点もふまえながら設計をすすめていきましょう。また、性能の良い住宅には、第三者による評価をしておくことで、家の資産価値を高めておくこともできます。
2020年以降の近い将来には、国の目標値どおり、注文住宅で建てる家はゼッチが標準仕様になっているかもしれませんね。ゼッチが一般的となり、それより省エネ性が低い住宅では、資産価値も下がってしまう恐れさえでてきそうです。
これから新築の注文住宅をお考えの方は、ぜひゼッチ仕様をご検討ください!